フィリピン再訪 演劇ワークショップでアジアの農村をつなぐ レポート7

演劇ワークショップでアジアの農村をつなぐ レポート7
「ワークショップ2日目」

さて、ワークショップ二日目。
日曜日なので、みなさん教会に行ってから来るので少し遅めのスタートです。

制作作業はかなり速いスピードで進んでいます。
昨日までに背景幕の小下絵を完成させ、今日はそれを拡大して3×5mのキャンバス地に描いて行きます。できるだけ(画面の一部だけでも)完成に持って行く事が目標です。そのためにいくつかの工夫をしました。

工夫1、
参加校6校中、3校分のみ完成させる。
そのために2校1組になり、どちらかの高校のものに2校で取りかかる。
その2校は立地が近い学校にする。その理由は、近い学校ならば、日常見ている景色が少しでも共有できる可能性があるためです。

工夫2、
スタッフの役割分担
team1(Gahang,Immaculate) : Rochelle,Faith
team2(Tulead,Banaue) : Meeko
team3(Bangbang,Hungduan): Yasu
1-3teams: Hiroko
Material: Kohei
MC: Jonalyn
Producer: Mariko
Shooting: Gladys,Rainel,Alvin
あとは、みんなで助け合いです。

話し合いの結果、◎のついた3校の背景幕描きの作業にかかりました。
◎Gahangは、大胆な構図が特徴で、イフガオのラッキチャームとされているマークを中央に取り入れました。画面の左右に収穫と田植えという別の季節の棚田が描かれています。
Immaculateは、繊細な下絵です。棚田や伝統的な家や動物や木々、生活の様子など、細かいカット割りで一年間通して巡るように描かれています。
◎Tuleadは、シダなどが生える森の木々の向こうに、棚田の様子が描かれています。マヨヤオの山中の気配を感じる絵になりました。
Banaueは、空があり山があり棚田があり蛇行する川があり温泉があり家があり、ふるさとの風景が緻密な構図と瑞々しい色合いで下絵が完成しました。
◎Bangbangは、学校からみた風景のような大胆な山の稜線と棚田と滝、そして火のまわりを踊る儀式の様子や、どこの家にもあるモマの木や、豚や、棚田を守る赤いフォーチューンプランツ、タニシや蟻などが描かれています
Hungduanは、棚田とそのまわりに住む生き物が伸びやかに描かれています。稲穂が風に靡いている様子は、ハパオに伝わる伝統のダンスが今にもそこで踊られそうな印象です。

最初に大きなキャンバス地を見た時、こんなに大きいの!と先生も学生も驚いた顔をしていましたが、描き始めると皆それぞれのペースで作業をしていました。ほぼ完成まで辿り着いた学校もありましたが、やはり時間は少なかったです。
このワークショップ内でキャンバス地に描かなかった学校も、小下絵の段階で、何か手応えを感じてもらっていたなら、自分たちで最後まで辿り着けると思います。
今回のワークショップであらためて感じた事ですが、
自分たちのふるさとを知ることは、自分を知ることにつながるように思います。
後半組ワークショップに参加したみなさんの描いたふるさとはとても美しいものでした。
喜びを持ってふるさとに心委ねることができるのはとても幸せなことだと思います。この世界中で全ての人がそうではありませんので。
このワークショップを通して、ふるさとのことをほんの少しでも今までと違った視線でみれたら、そんな発見があったなら大成功だと思います。

そしてこの一生懸命描かれた背景幕が、演者の波動とセッションしながら、無二の演劇となって、観客を巻き込んだ素晴らしいものになりますように。