花火

シャンティニケトンの花火はダウンジャケットを着た冬の祭の日。
あがったと思ったら開かずにおちていった。
友達と顔を見合わせて笑った。周りのインド人はローソクの明かりの下、何かを食べている様子だった。
二年前、地中海の町ブラネスにいた。パコとケンタと人があふれかえる浜辺で寝転びながら花火を待った。スペイン国内でも指折りの花火大会だそうたが、連発の具合が銃弾のようで怖くて早く帰りたくなった。花火のあとはフラメンコの発表会をみてから車に乗り込んだ。
一年前、盛岡にいた。花火のあと北上川の向こうを行く東北本線の列車の光の帯に、銀河鉄道の夜をおもった。日中は盛岡中央公民館で公開制作を、夜は岩手山麓滝沢村で宮澤賢治が書いた話を読んで眠った夏だった。
今夜は神戸港の花火を山麓にあるアトリエからひとり眺めた。
生まれ育った港の近く元町から浴びるように見上げた花火が懐かしかった。
なんだか少し遠くまで来てしまったような気になった。