那智の滝

インドに発つ前に行きたいところは、那智だった。今年は大好きな温泉に行く事もなく、日々目の前の事に集中してきた。振り返ると、年が明けて、冬のある日インド料理店と出会いアルバイトをする事にし、それから2日後にインド留学の話が上がり、ただ行きたいというシンプルな気持ちに突き動かされ申請書類の準備にかかった。3月にはスタジオを移動した。4月に入ると、神戸芸術工科大学の非常勤講師の仕事が始まり、東京展覧会、オーストラリア展覧会、神戸展覧会と続いた。那智の滝は私のオアシスだ。どうしても行けそうにない私に神様から贈り物が届いた。今週に入って那智の話が続く。火曜日は京都で偶然にてっちゃんと敬子ちゃんが今熊野に連れて行ってくれた。そこにある観音寺は、後白河天皇が熊野詣をしたくてもなかなか遠く行けない事から、この地に熊野の何やらを移してきたという何やら縁のある所だった。知らなかった。水曜日は寺門さんと紀子ちゃんと3人で那智の話をした。那智黒潮に乗ってやって来たインド人の僧侶によって開かれた場所だと言う事をすっかり忘れていた。今日はナミさんがおもむろに扇子を開き「これね、和歌山の那智大社の」って言うので驚いた。その扇で私をハタハタとあおいでくれた。気持ちよかった。
今夜は満月だよと、横浜の聡子ちゃんからメールが来たけど、こちらは雨。雲の向こうにはまあるいお月さんがいるようです。那智の滝は今頃、轟々と音をたてているに違いない。山の斜面を、明日も昨日もありゃせんと。