綾傘鉾

棒振り囃子は壬生狂言と深く関わっているらしい。
祇園祭には何度か出かけているが、昨日ほど魅了された事はない。人だかりの町中をかき分けるように歩き、鉾を見上げ、ドコカからきこえてくる囃子に京都に夏が来た事を思う。美大時代は京都に住んでいたから、祇園祭や大文字さんになると浴衣を着て出かけた事もあった。大親友の敬子ちゃんが小学生のときから虜になったという綾傘鉾。どうしても観たくて今年は連れて行ってもらった。細い路地の中ほどにある空き地にたどり着いたときには、一度目のお囃子が始まっていた。ひざの高さほどの舞台に、白紺の鱗模様の浴衣をきた京男が音を刻んでいる。たまに「よいよい」と声が入るのはたまらない。しばらくすると舞台は、アスファルトの上に移し、棒振り囃子が始まった。空を切るように下ろされるバチ。太鼓の一音があたりを回る。太鼓方の二人は大きく輪を描き踊るように音を奏でる。周りでは鉦をうつ。そこに棒をもった一人が登場。その後、棒はあたりの邪気をどんどんと集め、払い、清めていくようだった。愛すべき、奥三河花祭りを深く思い出した。