ぎこぎこがごがご

夜な夜な蛙の合唱がきこえて来る。
わたしは元町で生まれ育ったので、子どもの頃、土の上で遊ぶことがほとんどなかった。滋賀の友人を訪ねた時に「空が広いな〜」って言ったら「都会の人はいややな〜」って車の運転をしたまま皮肉たっぷりの得意顔でにやっとした彼女の横顔を思いだす。前を向いたまま二人で笑った。
そう。この蛙の合唱。ぎこぎこ、がごがご。おとぎ話の中に入り込んだような気分になる。夏の匂いと蛙の声、山からの風がすっと吹き抜けて、西の空の果てに星のランプが見える。時計を持ったウサギが出てきてアリスの様にどこか違う世界へ行ってしまったら、そこにはどんな出会いが待っているのかな。この世は知らない事だらけで楽しい。