蜘蛛の家

風が吹いた。
暮れなずむ町で空を見上げた。
窓の外に少し大きめの蜘蛛が巣をつくり始めた。サーカスの綱渡りのように目の前を右へ左へ、そのうち下へ斜め上へ。三方に張り巡らせた糸を中心に放射状に行ったり来たり。糸を張ってから少し引っ張って良い加減に間隔をあけていく。そのあと、内から外に渦を巻く様に糸を手繰り寄せながら渡って行ってはお尻でくっと引っかける。外へ外へ、一番外まで行ったらそのままの時計回りで内へ内へ。内回りの時は渦の間隔を狭めてまわって行く。真ん中まで来たら、じっとして、どうも出来上がったみたい。主人は中心にドン。そこを風が通り過ぎるのでした。