移動

今年の3月、西麻布にあるスイッチ・パブリッシングhttp://www.switch-pub.co.jp/ 直営のカフェ&本屋Rainy Dayでの展示作業以来、久しぶりの東京だった。新幹線で東海道を東へ行く。近江を通り伊吹山が見える辺りは、私の好きな風景で、春の野花、夏の青い稲田、今頃は稲穂の実り、深い雪景色は何とも味わい深い。関ヶ原を越え岐阜県に入る。揖斐川を渡ると、この辺り出身の友を想う。そしてほっとして、いつも眠ってしまう。たいがい名古屋駅で停車している時を覚えていない。目を覚ますと浜名湖辺りだったりする。近いうちに天竜川を上がり、秋野不矩美術館へ行きたい。静岡の茶畑を眺めるのは大好きで、土地の起伏をそのままに、緑茶色のかまぼこ型が並んでいるのをみると嬉しくなる。富士川ではやっぱり富士山をみたい。今回は雲に覆われて裾野しか見えず。思わせぶりだな。熱海を越えて、トンネルが多くなるともうすぐ小田原。新横浜は横浜に住んでいた頃の散歩コースの一つで、車窓から見える駅前は懐かしい。時々、新幹線に乗って帰りたくなったな。多摩川を越えて東京に入る。東京は建物が密集している。それぞれの建物の中に確かに人がいて、それぞれの時を送っているのだろう。そこには会話もあるのだろう。。なんて思っていたら品川に着いた。
一つだけの用事が終わり、友人宅に泊まりに行く。下宿人の大学生N君が出迎えてくれる。旅から帰って来たばかりらしく、その話が面白くて気がつけば深夜。自転車の車輪をはずし、機内持ち込みでイランに飛び、アルメニアグルジア、そしてトルコのイスタンブールまで走って来たらしい。体も目つきも切れていて、いい感じやなと思う。後も先もない一瞬の連なりは人をシャープにするもんだな。見せてもらった景色は荒涼たるもので、その途中に彼が出会った人達は優しそうな目をした人が多かった。アルメニアグルジアの独自の文字は綱でできたようなものだった。隣国のアゼルバイジャンも含み、その5カ国は宗教の違いで生活習慣も違い、食文化は微妙に似ていたり、シルクロードで繋がっている事を感じさせられたり、顔もロシア系だったりペルシャ人のようだったりした。次の日は友達に気持ちいい所に連れてって、ってリクエスト。行き先は多摩動物園になった。トナカイの柵のところで小さな子が「サンタさんがいない〜」って言ってた。