密会

階段には60ワットほどの電球に少し長く伸びた白いガラスのシェードをかさにしている。部屋と階段の境には、夜をむかえるとすだれを垂らすことにしている。外からの薄明かりだけがさしこむ部屋に入ると、散らかったままそこに残していったものを知る。不在の間にそこでは密会があったのか、その気配はもう私の知らないものだった。ふと後ろを向くと縒れたすだれの隙間から光がさしている。
まるで志村ふくみさんの織物のようだ。
いや、燻した木の香りがする茶だ。月夜の湖面にも思える。
今夜は密会のささやきが耳を触れる。