時を越える

誰かを思う気持ちに、距離など関係ないと思う。一昨日、ブラジルのサンパウロ州アリアンサからの便りを受け取った。弓場勇氏が創った弓場農場の勝重さんからだった。勝重さんは怪物だ!冬のある日、早朝の散歩、大田黒公園で椿を耳にして彼女が唱ってくれたオペラ椿姫の一曲。目白庭園で鯉を眺めながら、ブラジルの漁師の歌。魚崎の家で、目の前を通る六甲ライナーを眺め「ひろこちゃん、ここは銀河鉄道が通っているんだね」と言った。彼女の父である勇氏の出身、西宮名塩で紙すきをするおともをした。名塩の木と彼女の母の骨とブラジルの赤い土が葉書の大きさの紙となった。「ここに宇宙がある」と言った。本当にそうだよ、と思う。一昨日彼女から届いた「弓場」という写真集は、大きな力で私を一気にアリアンサへと導いてくれました。舞台に上がる前、メークをする彼女は香り高く、少女のようで、その写真のページの左上には太字でサインが記されていました。コーヒー豆は弓場で獲れたものでしょう。小粒な豆がビニールにぎっしり詰め込まれています。真っ赤なグアバジャムの瓶を開けると香りが部屋を満たしました。口に入れると粘りと強さに脱帽。これでなくちゃね。ブラジルは遠くないようです。