インドのこどもたち_1

シャンティニケトンは、インドの東北の方、西ベンガル州にあります。
日本からだと、飛行機でコルカタカルカッタ)の空港に着き、そこから列車で3時間ほど行った農村部です。日本とコルカタを結ぶ直行便はないので、首都デリーか、タイかシンガポールあたりで乗り換えなくてはいけませんが、わたしたちと同じお米を食べる文化を持った、そんな遠くないところです。
シャンティニケトンは美しい自然に包まれた村です。詩人ラビンドラナートタゴールが創った学校があり、私は2年前その大学に通うことがきっかけでこの村に10ヶ月住みました。それがはじめてのインドでした。学校には小学部から大学部まであり、授業は木の下で行われます。
私はインドに行く前に神戸芸術工科大学で講師をしていました。時々同じ様に木の下で授業をしたのですが、やっぱりそれは室内と違っていて「日焼けが嫌だ」とごねる女子も、そのうち生き生きと良い表情になってきて、それが絵にも出て来るんです。タンポポが一面に咲く原っぱを前に、一人一言連想することを言っていった日もありました。生徒の発想はなかなか楽しかった。
話が脱線しましたが、
学校の周りには裕福な人たちの家もコルカタの人たちの別荘もありますが、すぐそこには原住民サンタル族の人達の村や、ヒンドゥ教やイスラム教の貧しい村もたくさんあります。貧しいというのは、お金がない貧しさです。どちらの家にも太陽や月がのぼり、鳥が行き交います。満天の星と無数の蛍が夜道を照らします。村の人たちはコブラの事やさそりの事や、危ない事とそうでない事をよく知っています。それを見ていると、命をつないでいると思えます。
彼らが大人になるまで成長するのは、当たり前ではありません。本当は私たちもそうですが、恵まれた国にいるとそのことをすぐ忘れてしまいます。
靴を履かず服は破れ、栄養のある食事は時々かもしれません。電気は家にはないでしょう。そんなところで、この子たちは生きています。じょうずに石で遊ぶからおしえてもらったら、私が下手で笑われました。