新しい春

お雛さま。
そして神戸の風物詩「いかなご漁」が解禁となり、あちらこちらから醤油と砂糖でいかなごを焚く甘辛い匂いが漂ってきます。
春のはじまりです◎

さて、4月1日から12日までは大阪の枚方市星ヶ丘洋裁学校で個展があります。
タイトルは「おわりとはじまりのあいだ」です。

このタイトルは、2012年の夏、東北にて描いた絵の名前です。
盛岡市中央公民館の企画で開かれた「つながるアートコミュニケーション展」に大震災に関わるアーティストの一人として参加させていただき、公開制作させていただきました。その後この絵は、岩手県沿岸部の町、大船渡、久慈、宮古、田野畑、と盛岡で巡回展が行われ、皆様に見ていただきました。
私はこのとき大震災以降はじめて東北に入り、宮城県から岩手県までの沿岸部も連れて行ってもらいましたが、その時の原野のような土地と出会った人達の横顔を今でもことあるごとに思い出します。
今回、星ヶ丘学園が新しい挑戦とも思えるはじまりを向かえるにあたって、この絵を星ヶ丘に持って行く事は、園長先生との約束です。

星ヶ丘との出会いは、10年くらい前になると思います。4年ほど前に50代の若さで亡くなられた美術作家永井宏さんの紹介で訪ねたのがきっかけです。
永井さんは湘南に住む作家で、私が東京に住んでいた頃、お世話になった方のおひとりです。
「神戸から東京に向うのだから、東京のど真ん中に身を置きたい」と思い、新宿から15分の中央線沿いに住みながら、海が恋しくてたまらず暮らしていた頃、
「葉山に引っ越せば?こんど遊びにおいでよ」という言葉に甘え夫妻の家を訪ねました。
中央線で山手線の輪を東へ東京駅まで、横須賀線に乗り換え逗子駅へ。葉山は電車が通っていないので、駅に着くと永井さんが車でむかえに来てくれていました。昼の逗子駅は人も少なかったです。
永井さんの家はご用邸の隣にあって裏口の前は浜辺でたっぷりと潮の香りがしていて、たしかビーチサンダルかしてくださいと言うと「その格好は完全に街の人だね」とくすっとされ、変な気持ちとはずかしい気持ちでドキッとしました。
結局、私は須磨の白い砂に故郷を思い、湘南の少し黒い砂には憧れの気持ちで満足し、引越はしませんでした。

星ヶ丘洋裁学校は永井さんが大好きだった場所です。
住宅街の中の丘にある不思議な場所です。

学校内に納屋を改装したSEWING TABLE COFFEEがあり、私はそこが大好きで、今までゼンマイカムパニーとして「旅する切手」を、個展では「あおいまち」という絵を展示させていただいたことがあります。
久しぶりの星ヶ丘に、おわりとはじまりのあいだを持って伺えることがとても楽しみです。


4月5日には毎年恒例の桜花祭もあります。
詳しくはウェブサイトで。
星ヶ丘学園 http://hoshigaokagakuen.net/
ソーイングギャラリー http://sewing-g.com/

以下は、園長先生の言葉です。

「今年は、新しい星ヶ丘学園に向けての船出のお祭りです。応援の旗を掲げて、どうぞお集まりください」

海の向こうの永井宏さん、遊びに来てくださいね☆


2012年 岩手山