雨季の終わりに

26/08/2008
ボルプールまで先生を見送りに行く。サンギットババン(音楽学部)で踊り手をスケッチする。今日が終わる。夜中目が覚めるとどこからか風に乗って音が聞こえる。窓の外には小さなバラ。
27/08/2008
あさこさんとシュクマルダー宅へ留学生が残していったものを借りに行く。来月からはじまる一人暮らしのための準備のために。学校ではサッカーのトーナメント試合が行われている。
28/08/2008
インド16世紀半ばから17世紀の絵画、ミニアチュールを勉強することに決める。明日は貴重な資料を見せてもらえるようだ。今日は雷が激しく鳴り響き昼の数時間を除き、雨が降り続いた。
29/08/2008
雨には合図がある。木々がざわざわと音を立て揺れ始める。遠くでごろごろと音がする。急に冷たい風が辺りを駆け始める。そうすると15分か20分ほどで雨は降り始める。
豪雨は30分、長いときには1時間以上続く。今日は雨も多く稲光も激しかった。ミニアチュールの勉強が始まる。
30/08/2008
明日は短期留学生の3人が帰る日。今晩はお湯をかぶり寝ることする。
31/08/2008
朝が来た。ずいぶん疲れが取れている。網のところに小蜂が巣を作ろうとしている。外では野豚の家族がキーキーと声を出してにぎやかだ。
01/09/2008
ミニアチュールの作業に老眼鏡を使う。インド行くにあたっていただいたものだ。こんなのいらない!と決め付けていたけど、これはすごい。
02/09/20
今日は大切な日。父の誕生日。なくなって18年経つが命日より誕生日のほうが心に残っている。ミニアチュールは明日ドローイング作業に入る。
03/09/2008
やしの木が葉をすり合わせ立てる音は、雨のザーザーという音にとても似ている。家の前の原っぱでは、村の男の子たちがボールをけって遊ぶ。女の子たちはそれを座ってじっと見ている。
04/09/2008
来月から1ヶ月のプジャ休みに入る。オリッサ州のプリーに出かけることにする。秋野不矩さんの「バウルの歌」に出てくるプリーのスケッチに魅了されてからずっと行きたかったところだ。
05/09/2008
ミニアチュールの作業は続く。アノップの勧めでハヌマーンの絵を描くことにする。毎日ハヌマーンを眺めている。ハヌマーンは好きなので描いているだけで幸せだ。夕方強い雨が降る。このところこういう日が多い。今日も一日が終わろうとしている。
06/09/2008
朝はブッタの像のスケッチをしている。カラババン(美術学部)の入り口にほほえましく鎮座しているブッタ。大きな石の像には、コケや草が生え、手や足の上などは原っぱだ。うれしくなってこちらまで微笑んでしまう。午後は図書館に行き舞台美術の資料に目を通す。やはり舞台美術は好きでたまらないので、見ているだけで体が熱くなってくる。心もどうしようもなく膨れ上がってくる。
07/09/2008
あっちゃんが熱があるようだ。疲れたのだろう。アノップから本を借りる。家の犬がよくほえる。帰る道、かすみがかかった夕空に黄味がかった月が浮かぶ。
08/09/2008
あっちゃん熱が少し下がる。朝プーヤと待ち合わせしてサンギットババンにスケッチに行く。黄色と黒の蛇がいる。蛇は気をつけなくてはいけない。命にかかわる。母から半紙が届く。こちらでは面相筆がとても優れていることに感謝している。午後、コパイ川のずっと向こうまでスピッツの歌を歌いながら自転車で走る。1時間近く一本道を走り続ける。ミモザのような黄色い花の並木道が2キロほど続く。たくさんの子供たちに呼び止められ続ける。どれだけの笑顔に出会ったかしら。濁流の川を越え、夕方の雨、カフェで一休みして家路につく。