警告

20日ぶりに家に戻る。この旅は、今の自分には不似合いなものだった。学校は1ヶ月の休みに入り、作業場には鍵がかけられ入れない状態。家で絵を描いてすごそうかと考えていたが、比較的近いプリーへ出かけることを決めた。日本に帰るお金さえままならぬ状況だったが、周りのかたがたのおかげでよほどのことがない限りその心配もなくなり、休みを利用してベンガル以外の場所にもいけることとなった。友人からエローラ、アジャンタ遺跡へ一緒にいこうと誘いを受け、悩んだ結果行くことにした。33時間寝台で西へと移動した。スリーパーの一番安い席なので、ゴキブリに囲まれての33時間。ときどきネズミも走る。トイレは汚くてもそれしかなし。それでも床に寝るインド人はもちろんいるし、寝台でない人もいる。そして、そのままコルカタに帰りたかったが、まったくどうにもこうにも列車が取れず南下しハイダラバードに立ち寄ることになる。このハイダラバードに入る前、そしてそれ以降、見事に体調を崩す。初めての下痢。ずっとずっと続く。毎日の外食でかなり体に毒を溜め込んでしまったのだろう。どうにかまた30時間列車に乗りコルカタに帰ってきた。そして家に着くなり下痢と吐き気と熱。ノックダウン。まだ学生たちが帰ってきていない村は静かで美しく、木立がおおらかにゆれ、太陽と月と蛍が輝いていた。不似合いな旅は、欲張った私に、警告を鳴らした。