村のはずれ

学校で30年間デッサンのモデルをつとめている年齢不詳の人がいる。彼の家に、友人と二人でたずねることになった。そこは学校から自転車で4,50分行った人口80人の村。私の住んでいる村さえも町に感じる、電気がほとんどない村だ。家は土壁とわらぶき屋根でつくられ、家の中にはにわわとり、小鳥、鳥、ねずみ、人間以外のものもたくさんいる。私たちは、珍しい動物を見るように、何人もの村人に囲まれ観察される。小さな子のその目は、本当に澄んでいて、これ以上何がいるというのだろう、と思える。目の前にある光景は、まるでおとぎ話の中のようで、そこにいるのにどこにいるのかわからず、ここにあるのに、ここにあるのかわからなくなる。宇宙に投げ出されたようだ。