岩手再訪 20180408

2018年4月8日(日)くもり

油断してしまった。朝からからだ絶不調。。
赤沢さんと高橋さんが岩泉に連れて行ってくれようとしているのに、申し訳ない。。
気分が悪すぎて外を見る余裕もなかったが、盛岡中心部を出て1時間半、岩洞湖沿いを走り山間にある岩泉町三田貝分校の道の駅まで到着した。
このあたりも久慈渓流と同様、2016年夏大船渡に上陸した台風の直撃で被害が大きい。
これほどの山の中で凄まじい台風が迫って来て土砂が崩れそうだとなると一体どこへ避難すればよいのだろう。台風上陸を体験した事のない方々の不安を想像すると、怖かったのでは、と察する。
岩泉町は広い町で、この山の中の三田貝分校から更に1時間半車を走らせると岩泉町で唯一海に面している小本地区に着く。
今日の目的は、小本地区の三陸鉄道岩泉小本駅に併設されている「こども図書館」を訪ねることだった。
ここは東日本大震災後、日本テレビの企画で芸能人などから多くの絵本が届いた小さな図書室で、その届いた本を整理して場を整えたのが「いわて3.11絵本プロジェクト」のみなさんだった。
私の知る神戸市立兵庫図書館館長補佐の片岡さんもここに来て、本の整理を手伝ったときいている。
壁には著名な漫画家が共同で描いた銀河鉄道のパネルが飾られいる。
芸能人からの寄贈本の中には、ご自分が大切にされていたものかもと思えるほど繰り返しページをめくった様子がある本もあった。
部屋の中は保育所か幼稚園のように楽しい雰囲気で、絵本プロジェクトからの支援で赤ちゃんや子どもが寝転べるようにクッションチェアが設置され、からだをくるむことができる手製のホタテ型クッションが置いてあった。
わかりやすく整えられた棚の横に貸し出しノートが置かれている。めくってみると春休みの間に本を何冊も借りていった子どもたちの字がある。
津波で甚大な被害にあった小本地区に、温かい本の部屋ができたというのは本当によかった。
人の心が少しずつ癒えていくにはゆっくりと時間をかけて愛を注いであげることが大切だとあらためて感じた。
ゆっくり図書館を出て扉の外に出ると、もう三陸鉄道のホームへと繋がる廊下だった。
ホームに上がるとちょうど下りと上りが1分くらいの時間差で到着した。宮古行と釜石行だ。
岩泉小本駅で下車する人はおらず、乗客は観光の人が多いように思えた。
鉄道の再開を願った人達もなかなか利用はしないと聞いた。
図書館にもどると入口にバギーカーがあり、窓から中をのぞいてみると赤ちゃんがお母さんが顔を寄せ合い本を見ていて、花が咲いたように嬉しかった。
それからゆっくり車に戻り帰路に着くことにした。
体調の悪い私に赤沢さんは何度も「急がなくていい。だれと約束しているわけでもないし、時間を気にすることもないしね」と微笑んでくれた。
「楽しい店があるのよ」と龍泉洞近くのうれいら商店街に寄る。
うれいらとは、商店街の目の前にそびえ立つ断崖絶壁の山、宇霊羅山に由来する。標高604mの石灰岩台地の山は何とは無しに神秘的な佇まいをしている。
宇霊羅山についてしらべてみると、【「ウレイラ」とはアイヌ語で「霧の多い山」、あるいは「ウレ=集落の背後の高い山、イォロ=岩山」の変化したものといわれているが、北東斜面に多い洞窟と関連する伝説もある】と書かれていた。その洞窟の一つが有名な龍泉洞だ。
商店街は定休日の店が多くひっそりとしていたが、興味深い店が点在していてまた訪れてみたいと思った。
名物中松屋で、クルミと黒糖と山椒が入った欽山餅というユベシを買った。
あとで食すと無二のうまさだった。
帰路は行きと同じ道を行く。
今日は最後まで体調は戻らず迷惑をかけた。
都南図書館に着き、顔が真っ青のまま赤沢さんと高橋さんに挨拶をしたあと、奥の休憩室で横になり眠った。
小綿さんの終業時間には少し回復していた。
リニューアルオープンしたばかりの「ゆーとぴあ姫神」でからだをあたためて家に帰ると、みどりさんが郷土料理を用意して待っていてくれた。
嬉しくてたまらなかった。
メニューは「ひっつみ」と「きのこおこわ」
美味しいのはもちろんのこと、岩手の歳祝いの習慣とか集落で起きた出来事とか、たくさん話ができて楽しい夜だった。