岩手再訪 20180410

2018年4月10日(火)快晴

檜風呂で一泊2000円台という安さは信じられないほど、ケンジの宿は良く眠れた。
今日は鈍行列車で南下し、平泉毛越寺中尊寺に寄り一気に仙台空港まで行く。夜の便で神戸まで帰る計画だ。
朝、釜石線で新花巻から花巻へ行き、東北本線に乗り換えて平泉まで約1時間。
途中一関では通学の高校生と一緒になったが方言が少なくて驚いた。
平泉駅に着くと通勤通学の後なのでか乗降者は私を入れても5人足らずだった。

平泉は母が好きな場所で前から訪ねてみたいと思っていた。神戸に帰ってから母と旅の話ができることを楽しみにしている。
まずは駅から毛越寺まで歩く。10分ほどで着くらしい。長袖の重ね着だと汗ばむくらいの陽気で、道端には春の花が並んで咲いていた。
毛越寺に入ると花のシーズンと曲水の宴の準備が熱心に行われていた。
湧き水の池を廻り、眺めのよい場所でベンチに腰掛ける。
とても静かで遠く山にいる鳥の声さえ聞こえそうだ。
ここに立派なお堂や楼鐘が建っていた、そしてきっと鐘の音は遠くの山に反響して、誰もの元に届いた事だろう。
人が多い時に来ていたら、こんな思いになれなかったかもしれない。
毛越寺を出て、歩いて中尊寺に向うことにする。
菜の花もすっかり背を伸ばし、柔らかな風が流れていく。
茶屋でつきたての餅で腹ごしらえをして再び歩き始める。
中尊寺金堂は山の中にあるらしい。高く木が立ち並ぶ道の左右にお堂が続き、深く奥へと進んでいく。
母もこの坂を上った時は、随分息が切れただろう、北海道の叔母の腕を借りて上ったのだろうか。
歩きはじめて半時間経った頃、奥の林の中に金堂がみえた。
それまでの開かれたものとは違った。
ゆるやかな曲線の道を進み金堂の中に入る。
お堂の中はこの世のものとは思えないほど輝いていた。
藤原氏三代の思いの深さに心が追いつかない。
ただ人の世のかなしみを思う。
しばらく金色堂にいたが、そばの展望レストランに入り昼食をとることにした。
西には義経と弁慶の最期の戦いの地を眼下に、遠くは秋田との県境の山並みが見えた。
北にうっすらと見える山のことを訊くと、「あれは早池峰山でここからはめったにみれないので今日は嬉しい」と微笑みがかえってきて心安らいだ。
鶯のさえずり、フキノトウが菜の花のように背を伸ばし、梅の香りがする。


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岩手再訪、忘れないうちに書き留めた雑文、おつきあいいただきありがとうございました。
あれから平泉を出て牛小田で乗り換え仙台そして仙台空港まで行き予定通り神戸に帰って来ました。
平泉は今思い返しても人の世について考えさせられます。

再会を願った岩手への旅でしたが新しい出会いも多く、縁が切れるどころか太くなり、こうしてまた繋がっていくんだと思いました。
特に小綿さん家族との出会いはとても大切なものになりました。
今回の出会いが形を変えてまた何かへと繋がって行くと思うと未来がが楽しみです。
岩手のみなさんには大変お世話になり、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。

ではこのあたりで。また